母乳育児を応援する

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【おっぱいの悩みと頭蓋仙骨療法】

*お母さんの側から

おっぱいの悩みでまずお母さんが直面するのは、「詰まる」ということ。これがひどくなると「乳腺炎」に発展します。おっぱいをあげ続けないと止まってしまうから薬を飲むわけにもいかない、マッサージは痛い、背中や腰まで痛くなってくる、あげくの果てに熱まで出たりしてとても辛いものです。もちろん食生活やホメオパシーも大きな助けになりますが、頭蓋仙骨療法も試してみる価値が大いにあるのです。
赤ちゃんが産まれるとき、骨盤が緩みます。この緩んだ骨盤内を赤ちゃんが回旋しながら出てくるのですが、回旋につられて子宮、膣、その周辺の筋肉・筋膜、それに続く内蔵にねじれや歪みが生じます。この状態から元に戻る時に歪みが残ると、それが腰、背中、肩、首のこりにつながります。赤ちゃんが上手におっぱいを吸えるようになると、盛んにオキシトシンが分泌されて、この緩みや歪みやねじれは修正されますが、その程度によってはやはり自力では戻れず歪みが残る事があります。タダでさえ慣れない抱っこでこりがちな身体にとっては、大きな負担です。そしてこのこり、鬱血が乳腺の詰まりとも関係しているのです。
生まれたての赤ちゃんは、最初から上手におっぱいを吸えるわけではなく、徐々に上手に吸えるようになります。力強く吸い始めた時に、ガチガチだったおっぱいが少しずつ柔らかくなり、それと同時に、鉛が入ったように重かった肩や背中がすっと軽くなるのを経験しておられるかたも多いと思います。こりがあるから詰まるのか、詰まるからこるのか? どちらが先かはわかりませんが、こりにくいように身体のひずみを修正すれば、詰まりにくくなるのは確かです。

*赤ちゃんの側から

赤ちゃんが狭い産道を回旋しながら通って産まれてくるとき、頭・背骨・骨盤など全身がかなり強い力で圧迫されます。生まれたての赤ちゃんの頭がゆがんでいたり、すでに向き癖があったり、股関節の開きがアンバランスだったりするのはこのためです。中にはこの歪みで胃軸捻転がおきて、せっかく飲んだおっぱいを吐いてしまう赤ちゃんもいるのです。
赤ちゃんが産道を通るときに頭蓋骨が大人のと同じくらいかちかちに出来上がっていたら、産む側のお母さんも大変だし、産まれて来る赤ちゃんにとっても不都合です。そのため、赤ちゃんの頭蓋骨は不完全なまま、産道の形にあわせられるような柔軟性を持って産まれて来ます。頭のてっぺんと後ろに泉門といわれる柔らかい部分があるのは、みなさんご存知でしょう。けれど、すっかり閉じていないのはここだけではなく、後頭骨という脳から脊髄につながる延髄が通る穴、後頭孔や舌下神経管周辺も軟骨の状態で産まれて来ます。特に、大人のように一枚の状態ではなく、4つのピースが組合わさっている状態の後頭骨は歪みが生じやすいところです。また、後頭骨と側頭骨の間には、舌咽神経などが通っている頚静脈孔(舌咽神経の他にも迷走神経や副神経といった授乳に深く関わる神経が通っている)がありますが、この2つの関節部もしっかり閉じてはいません。(舌下神経は舌の動きを司り、舌咽神経は飲み込むという動きに関わっています。)
お産のときに赤ちゃんの頭に加わった力による身体のひずみの多くは、赤ちゃんがおっぱいを吸う事でどんどん修正され然るべき位置におさまるようになります。赤ちゃんの口蓋は、大人のようなドーム状ではなく、乳首が納まるくぼみがあります。うまく吸えない原因として、頭蓋骨の歪みが口蓋骨にも影響し、このくぼみがうまく乳首を受け止められないため、安定した吸綴がのぞめないことすらあるのです。ともあれ、そのくぼみに舌でしっかり乳首を巻き込み、強い力(哺乳瓶の60倍の力ともいわれています)で吸うことによって、口蓋骨から鋤骨、蝶形骨へと刺激がつたわり、蝶形骨のトルコ鞍というくぼみにある脳下垂体から成長ホルモンの分泌が促され、出産時の歪みは修正されるのです。
ところが、もともとのひずみが大きい場合や、授乳のタイミング次第で、後頭骨周辺にかかった負荷が取り残される事があります。すると、舌下神経や舌咽神経への圧迫が生じ吸う力を存分に発揮できず、ひずみの解消も期待できないという悪循環に陥ります。
こうなると、おっぱいの方も乳首がいつまでも痛いとか、吸い方に偏りがあるために左右差が出るとか、いつも同じところが詰まるなどといった問題が生じます。

【舌小帯の問題と頭蓋仙骨療法】

おっぱいが上手く飲めない(吸えなかったり、むせたりする)ときに舌小帯を見て、短い又は癒着があると、即「じゃあ切ろうか」と言われる事もありますが、ちょっと待ってください。中には短くてもしっかり飲める子もいるのです。舌下神経や舌咽神経という吸綴(おっぱいを吸うこと)運動に関わる神経の圧迫があれば、短くなくても吸えない事すら起きるのです。こういった神経への圧迫による舌筋、舌骨筋の運動機能不全は、舌小帯の長さとはほぼ無関係です。吸綴に関わる神経の圧迫と舌小帯の問題が同時にある場合なら、舌小帯を切れば舌の動きに多少の改善はあるでしょうが、根本的な骨格の歪み・神経の圧迫という問題は取り残されてしまいます。
吸い方、飲み方に不安がある場合、出産時にどうしても生じてしまう歪みの事を考えてみてください。癒着している、又は短いという見た目で安易に切るという選択をせず、まず頭蓋仙骨療法でのアプローチを試みてください。

*タマゴが先か、ニワトリが先か?

乳腺の詰まりや、舌小帯の問題という目に見えて現れる問題と、そこに潜む、もしかしたらその問題を作っている原因かもしれない身体の歪みや神経の圧迫。どちらが先かはわかりませんが、目に見える問題のみに囚われてそれだけを解消しようとしても行き詰まりを感じる事でしょう。
タマゴが先か、ニワトリが先かという堂々巡りをするよりも、出来る事をいろいろやってみる事は大切です。
その「いろいろ」の中に是非、頭蓋仙骨療法も加えてみてください。

監修: 藤牧 経乘
ⓒたまゆら堂

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